イベント報告
奥多摩周遊道路カップ
第1回東京ヒルクライムOKUTAMAステージ
2009年7月26日(日)
1st Tokyo Hillclimb OKUTAMA stage
■参戦レポート 山田幹根(ボランティア&選手)

まさか東京の一般道で自転車レースができるとは思っていませんでした。それも東京の箱庭、奥多摩町!ロケーションは最高です。

今年3年目になるNARIKIステージが出来るまの道路事情、警察の許可などの苦労を知っていたので、立派な有料道路だった周 遊道路で自転車レースが開催されるなんて誰も思ってませんでした。

そこに目をつけた大西さんは凄い!しかしそう簡単にはとんやはおろしてくれませんでした。「周遊道路の閉鎖時間内」で行わなけれ ばならない条件です。

受付も当日やっている時間が無いので前日受付のみ、2回も奥多摩まで足を運ばなければいけない、それに当日はスタート時間に間に 合う電車がない、自走か車で行かなくちゃいけないジャン。申し込むまでは「めんどくさい大会だ」という気持ちはありました。

とは思ったものの近場で練習も出来るし、地の利を生かせば、もしかして賞金が頂けるのを夢見て、自転車好きの後輩を誘って参加す る事にしました。

当日自走で行くので朝4:00地元青梅を出発、夜明け前に一人走っていると、赤い点滅が見えました。自走で行く人がやはりいました。 河辺のビジネスホテルに泊まりそこから自走して来たそうです。2人いいペースで走っていると、知り合いのボランティア、西田さんが 車で通りかっかたので、荷物を預け、また2人で集合場所である奥多摩駅を目指しました。

ちょうど5:00に到着すると20名位自走で来た人達がいました。みんなの荷物を西田さんの車に預けて、会場まで一列で向います、 私が先頭で走ることになりペースを気にしながら行きました。時後ろを見て、きれいに列になっているのを確認するとパレードのようで 気分上々ってところです。奥多摩駅から約40分スタート会場に無事着きました。

6:15そろそろスタート位置へ整列します。天気も上機嫌で空気のすがすがしいこと、奥多摩らしいです。自転車が並びだすと気分も 上がってきます、もっと時間が無くてばたばたするかと思いましたが、ゆったりとスタート位置に着くことが出来ました。

スタートすると車輪の「シャー」って鳴る音が山に吸い込まれていく感じでスタートしました。初めの高速コーナーもみんな先に ある登りに備えてか無茶をする人はいませんでした。山のふるさと村入り口信号からいよいよ本格的登りが続きます。ここからゴールまで 約10km人もばらけだし気合を入れて走りました。

朝日が時々正面に来たとき眩しかったのと汗がどっと出てきて目にしみてきたのもこの辺だったかと思います。フロントをインナーに 落としてリヤーは2枚くらい残すようにしてがんばりました。

月夜見第1駐車場まで来るとリヤ―は残り1枚、ここからどれだけがんばれるかといつも練習のときには思ってます。コースは何度も来て 頭には入っているのですが、苦しさはいつも同じです。顔は崩れ、口は開きっぱなし。

必死でゴールの月夜見第2駐車場までがんばりました。ゴールタイム34:04練習のベストタイムより3分UPでした。

申し込む前までは『めんどくさい大会』でしたが、ゴールした後考えると、ヒルクライムは、他人との競争だけではなく、どれだけ 我慢できたか精神的要素が多くある奥多摩ヒルクライムは自分にあっているなと思いました。今回賞金は逃しましたが・・へへ

試合終了後、仲間内の家族でBBQをしました、朝、競技は終わってしまうので時間はたっぷりあります。天気もよく、大汗をかいた 後のビールは最高でした。帰りの足が無ければ輪行して帰れば飲めますよね。来年は賞金目指してまたがんばりますか。大西さん、年代別 にも賞金だして〜。

■参戦レポート 松丸真幸(ロングディスタンストライアスロン日本チャンピォン)

7月26日(日)、奥多摩で第1回東京ヒルクライムOKUTAMAステージに参加。参加者は全部で600人くらい。ヒルクライムは人気大 会だ。私は、登りは得意なので、目標は優勝だが、最近は、シーズン前半の疲れもあってか体調を崩してしまい、ベストな状態ではなかっ た。目標を変更して、順位は気にしないで粘る走りを目指すことにした。

距離は、10kmちょっとのコース。勾配は、序盤は緩くて、4km以降、きつい勾配になり、最後はまた緩くなる。ヒルクライムで もスピードコースの部類だ。今回は、MTB の竹谷選手、デュアスロンの森選手など登り自慢の選手も多く参加していた。

朝6時30分にスタート!初めは、集団で団子状態。4kmを過ぎてから、森選手がアタック。竹谷選手がそれについて2人で行って しまった。私は、アタックに反応することが出来なかった。自分のペースで走った。

しばらくは5番手で走る。前に高岡選手、鈴木選手が視界に入っていたが、追いつかない。心拍数は165拍。悪くはないが良くもない。 この距離だと、あと10拍くらい上げられると良いのだが・・・。

後半、やっと調子が上がってきた。最後は、ギアをアウターにかけて頑張る。結局、そのまま5位でゴール。なんとか粘ることが出来た が、前の4人の選手には完敗だった。来月の8月のNARIKIステージでもっと良い走りを目指したい。

■KFC徒然

7月も後半になると真夏の太陽がジリジリと照りつける、「第1回東京ヒルクライムOKUTAMAステージ」はまさにそんな天候の中の開催とな りました。

奥多摩周遊道路を使用して開催されるこの大会は、周遊道路が開通する前の時間帯に道路を占有し行なわれるため、前日受付、当日レースと いうスケジュールとなりました。

【ゆる〜い感じの前日登録】

大会前日、奥多摩駅近くの登計原村山運動公園で、12:00から受付開始。心配されたお天気も大丈夫のよう です。例年ならこの時季は暑い夏日が続いているはずなのですが、今年は10日ほど前から雨勝ちの日が続いていました。

12:00前から選手が自走で次々に到着。いよいよレースの幕開けです。前日の受付なので、時間も長めに12:00〜16:00という設定。 そのせいか、選手もさみだれ的に到着し、当初2回しか予定していなか った説明会を30分おきに変更。アップを兼ねて自走で着ている選手が多かったです。

参加賞はバスクをイメージしたオレンジ色のオリジナルバイクジャージ、スーパーVAAM、サイクルチャージ、ライブストロング。バイクジャージ はKFCメンバーが気合をいれてデザインしたものですが、気に入っていただけたでしょうか?

今回は茨城県のバイクショップ「エナジー」の原さんがメカニックを申し出てくれた。神戸からTNIの中原さんも新製品の軽量バイクパーツを持って 駆けつけ、ブースを設置。受付を済ませた選手達に囲まれ、矢継ぎ早の質問ににこやかに応対していました。

受付途中で、中央道が事故で閉鎖との連絡あり。何名かの選手から受付時間に間に合わないとの連絡が入りました。やむなく名前を聞いて当 日受付に。いろいろあります。しかし暑い。レース当日も相当の暑さが予想されます。

【張りつめた空気、本番の朝】

さて、レース当日。朝6:30のスタートとあって、6:00前には既に荷物預かりエリアの川野駐車場に選 手が続々と集まって来ています。奥多摩駅から自走の選手達は、スタッフの先導の下、まとまって会場へ到着。途中、次々に選手が合流し、大き な集団となりちょっとした光景だったようです。

第1回目とあって、なんと警察の車両が7台も来て、救急車と消防車もスタンバイして、レースへの関心の高さを感じました。そして、警察官の方も 選手の多さに驚いていました。

今日も暑くなりそうですが、6:00頃の奥多摩は空気が爽やかな、まさに夏山の朝と云った感じで、自転車日和の気候という感じです。 レースは奥多摩周遊導路の左車線を使用する11Kmのヒルクライム。2分間隔のウエーブスタートで、エリート選手のいる第1ウエーブから第8 ウエーブまであります。

このレースは賞金レースであるため、エリート選手の中には、オリンピック選手の竹谷賢二選手(SPECIALIZED)、ロングディスタンストライア スロン日本チャンピオンの松丸真幸選手、実業団の高岡亮寛選手(イナーメ・アイランド・2XU)、森正選手(宮川H.C.C)、鈴木篤史選手(ALPHAWK) など、有力選手が肩を並べています。

女子選手もオリンピック選手の片山梨絵選手(SPECIALIZED)、金子広美選手(ケッタマシーンズ)、佐藤浩巳選手など。因みに、賞金はNARIKIス テージとのシリーズポイントで争い、総額70万円を用意しました。

コースは約3KMまでは緩い上りで、一部下り左複合カーブがあり、その後はやや勾配がきつくなりますが、路面は綺麗だし、周りは奥多摩の山々に 囲まれ、上っていくにつれ眼下に奥多摩湖が開けてくるという、美しい景観のコースです(余裕のある人は見てくださいね)。

実は、東京都建設局西多摩建設事務所が皆さんに安全に気持ち良く競技してもらえるようにと、この大会日に照準を絞り、何日も前から道路を整備し、 チリひとつ落ちていないほどにピカピカに磨き上げて下さったのです。おそらくこのOKUTAMAステージは日本一路面の綺麗なヒルクライムレースと思いま す。

【清々しい空気の中、競技開始】

アップを兼ねた試走を終え、6:00過ぎから選手がウエーブごとに整列を始めると、選手達はレースに向け 集中を高めたり、メータのセットを確認したり、レースの雰囲気は否が応でも高まってきます。

スターターも時計を気にし始め、この日この時のために ピカピカに磨き上げたオープンカーのメディア用車両(雑誌「ファンライド」のカメラマン本田ジェロさん乗車)が先導車の後ろのポジションに入りま す。実は、この車、3年ぶりにワックスをかけました。さらに、オイルも交換し、何とタイヤまで新品に履き替え、粗相がないように仕上げました。

いよいよスタート2分前ですが、第一ウエーブの一番先頭集団のトップ選手達は比較的リラックスモード、なにやらおしゃべりしています。しかし、 1分前には皆さんきっちりスタンバイ。切り替えがすごいですね。

そして、6:30、待ちに待ったスタート。いよいよOKUTAMAステージの開始です。スタートのホーンとともにあっという間にカーブの向うに消えてい く選手達。でもレースは始まったばかり。これからまだまだ先は長いです。

その後も、予定通り2分間隔でスタート。約3Km地点では既に選手は切れることの無い縦長の列となり、次々と上っていきます。笑顔の選手、少 し苦しそうな選手、、。約3K過ぎからやや勾配がきつくなり、この勾配は7Km先の第一月夜見駐車場(45分の関門)まで続き、この辺が力の見せ所 になります。

シッティングでジワジワ行く選手、時折ダンシングをする選手、1人1人が黙々とこいで行く、視線の向うには先を行く選手の後姿が写り、周りを 見ると奥多摩の山々、木々や草の緑色、そして水色の空、なかなか感動的シーンです。

関門の月夜見第一駐車場を過ぎるとコースはややなだらかになり、後はゴール(月夜見第2駐車場)まで一直線です。

ゴール地点は次々にゴールする選手達で次第に一杯に。下りは先導車のもと、いっせいに下山のため、次々ゴールしてくる選手を応援しながら待ち ます。

最終選手のゴールを待たず、7:30ジャストに一列になって下山。選手達の表情には、レースを走り終えた達成感や満足感があり、その輪の中に自分 がいないのがちょっと残念な気がしました。

【東京の大自然に包まれたアワードパーティ会場】

レースは予定通り、開門時間の8:00には完了し、10:00から「やまのふるさと村」の芝生の広場に てアワードパーティが開催されました。今回は、会場に隣接のレストラン「かわせみ」にて軽食が準備されるとあって(あるいは飛び賞ありのせい?) 多くの選手が参加してくれました。

10:00ともなると、気温も相当上がり、朝の涼しさはどこへやら、真夏のアワードとなりました。開会宣言のあと、お待ちかね軽食がサーブ されると、選手はいっせいに木陰の下にセットアップされたビュッフェのテーブルへ!サンドイッチやから揚げなど、料理は素晴しいものでしたが、 あっという間にお皿は空になり・・・。みんなとても美味しそうに食べていました。

飲み物と軽食でおなかを満たした後は、いよいよ表彰式です。男子優勝は竹谷選手、女子優勝は片山選手、どちらもオリンピック選手で実力を見 せ付けた感じでした。男子2位は森正選手、3位は高岡亮寛選手、女子2位は金子広美選手、3位は佐藤浩巳選手でした。因みに、女子の片山選手は 総合でも6位に並ぶ成績でした。

その後、年代別、飛び賞、そこまでは予定通りでしたが、さらに遠来賞、そして西田賞、ブービーメーカ賞、ブービー賞。遠来賞は何とカナダ、イ タリアまで飛び出し(出身地あり?という感じですが)、西田賞は、トレーニングでコースに乗りに来た時に自動販売機の周りに放ってあった空き缶 を黙々と掃除していた大堀隆三選手が受賞、というちょっといい話もありました。

鍛鉄工芸家西田光男さん(トライアスリート(アイアンマン)でもあります)のノリノリのMCで、表彰式も盛上がりました。最後に本田ジェロさんが撮った 集合写真はファンライドに掲載予定ですので、皆さんお楽しみに。

【振り返えれば】

首都東京に誰もが参加できる自転車レースを作りたいという信念のもと、NARIKIステージにつづいて2本目となるこのレース。東京都の後援も 頂き、今年なんとか開催することができました。

何度やっても、ゼロから何かを作り上げていくことは難しい。開催にこぎつける迄に準備、各関係機関との調整、地元との連携など、足掛け約2年の 時間を要しました。

お上は国を挙げて、エコとして自転車を推奨しておきながら、一方で、車や人に比べて自転車の「地位の低さ」(自転車占用レーンのない狭い道路や 自転車はスピードがでるから危ないという先入観など)は根強く、なかなかヨーロッパのような国民的スポーツとしての自転車レースの普及は難しいと 感じています。この点に関しては、あの南の島の方が遥かに成熟しています。

常々、日本はマラソンに比べて自転車レースの地位は低すぎると感じています。東京マラ ソンや青梅マラソンなど、マラソンは堂々と幹線道路を使用できますが、そんなことができる自転車レース(国体などの特殊な大会は除く)は日本中、どこを 探してもありません。人里離れた山の中に追いやられているのが現状です。

でも、このOKUTAMAステージ大会やNARIKIステージ大会を通じて、自転車レースの楽しさや、自転車仲間がたくさんいること、東京でも自転車レース が開催できるということを知っていただければ、と思います。

また、選手の皆さんがちゃんとルールを守ってレースに参加してくださったこと、そして我が優秀なスタッフの皆さん、今回事故や怪我がなく、無事大会を 行なうことができ、皆さんのご協力に感謝しています。

来年もぜひこの奥多摩でお会いましょう!いえいえ、その前にぜひトレーニングにも来てください。山のふるさと村のレストラン「かわせみ」でお会い しましょう。

【Special Thanks】

最後に、OKUTAMAステージ開催に当たって、ご尽力、ご協力頂いた以下の方々に感謝したいと思います。

東京都、奥多摩町、東京都建設局西多摩建設事務所、青梅警察署、山のふるさと村、レストラン「やませみ」、奥多摩消防署、山梨県小菅村、 東部森林公園キャンプ場ほうれん坊、奥多摩工業、トライスポーツ、明治乳業(VAAM)、NATHAN、Meitan、バイク&スポーツ「エナジー」