イベント報告
第1回wiggle東京グランフォンド
1st wiggle Tokyo Granfondo
2012年10月07日
■KFC徒然

近年、人の流れが首都圏の東部(東京ディズニーランドやお台場、最近ではスカイツリー)へ移っています。

さらに若者の自動車離れを反映してか、 かつての首都圏ドライブコースとして人気の高かった大多摩地域(檜原村、奥多摩町、あきる野市、山梨県小菅村、青梅市等など)への人(車)の流れは減少し、 過疎化が進んでいます。平日だけでなく、休日でも道路は空いています。

【自然に優しい自転車】

そんな折、エコツーリズムの代表格であるサイクリングで大多摩地域を訪れる人が、少しずつですが、増加の傾向にあります。

2007年から始めた「東京ヒルクライムシリーズ」も影響していると思います。

それに加え、来年、この地域は東京国体「スポーツ祭東京2013」の自転車競技コースとなっています。さらに、 東京都は2020年のオリンピックの招致を目指しているという背景があります。

【東京ヒルクライムサイクルステーションネットワークの構築】

そんな状況下、休息スペース、清潔なトイレ、飲料水、空気入れ、工具箱、救急箱、それにバイクラックなど、サイクリングに必要なサービスを 無償で担保してくれるサイクルステーションが大多摩地域の道路沿いに点在すれば、初心者や女性でも安心してロングライドに出かけることができます。

特にコンビニの少ない大多摩地域では、それが必要だろうと考えました。また、この地域の人々も自転車を地域活性化に役立てたいと考えていました。

そこで、これらの地域の人々と相談し、すでに「東京ヒルクライムシリーズ全3戦」を開催している地域(檜原村、奥多摩町、山梨県小菅村、青梅市)を中心に、 誰もが安心して利用できるサイクルステーションのネットワーク(6箇所)を構築し、5月のゴールデンウィークから利用を開始しました。利用料は無料です。

【サイクルイベント立上げの経緯】

その結果、これまでサイクリストたちが訪れることがなかった施設へ、訪れるようになってきました。

そして、施設の関係者から、この流れをもうひと押しするための何かができないだろうかと相談を受けました。 それを受けて、サイクリングイベントが最も現実的で効果的という結論に至りました。7月中旬のことです。

開催予定日はサイクリングのベストシーズンであり、晴れの特異日に近い10月7日(日)に決めました。時間がないので、 その日に照準を合わせ、バタバタと準備を開始しました。

この手のイベントは警察の許可が下りないことには「絵に書いた餅」に過ぎません。

早速、青梅警察へ相談に伺いました。 過去の大会運営実績や地域への貢献度を考慮して頂き、肯定的な返答を貰いました。その後、ルートの一部を管轄している五日市警察と上野原警察へも相談に行きました。

そして、8月下旬に青梅警察から道路使用許可が正式に下り、直ちに告知と募集をホームページ上で開始しました。

【善は急げ】

善は急げです、過疎化の進行は待ってくれません。それに各施設の関係者も一刻も早くと云う希望なので、募集から開催まで 僅か40日間という異例の短さでしたが、実施することにしました。通常は4〜5ヶ月を要します。

それでも100名余りの参加者がありました。 応募して下さった皆さんに感謝です。最初の第一歩は何とかクリアできたと感じました。 4年前の「多摩川源流トレイルラン」の立ち上げ時とよく似た状況です。

【東京とは思えないダイナミックなルート誕生】

ルートは青梅市にある「立正佼成会青梅錬成道場」をスタートし、多摩川を上流に沿って青梅街道を西へ、奥多摩湖畔道路を通りや山梨県小菅村へ行きます。

その後、 奥多摩湖まで引き返し、奥多摩周遊道路に入り、東京都の道路最高地点である風張峠(標高1146m)を超え、檜原街道を東へ下ります。

そして、檜原村、あきる野市、 日の出町を経由して青梅に戻って来ると言う“東京いいとこ取り”周回ルートです。 【ルートマップはこちら】

【東京グランフォンド誕生】

距離は約120kmとなります。アップダウンのあるタフなルートなのでサイクリングではなく、グランフォンドと名付けました。 グランフォンドとは山岳コースを走る ロングライドのことで、発祥は自転車王国イタリアです。

また、7月末から英国ポーツマス市にある自転車通販のグローバル企業「wiggle」が東京サイクルステーションネットワークの運営サポートをしてくれているので 「第1回wiggle東京グランフォンド」と名付けました。

国立公園という素晴らしい環境の中で開催される首都圏に最も近い本格的グランフォンドの誕生です。

【安全第一の大会運営】

過去、ヒルクライムの運営は何度も経験していますが、グランフォンドは初めてです。7月初めまでは、グランフォンドを開催するなんて、 夢想だにしていませんでした。

距離が長いので、念入りに準備しました。特に安全面には注意を払いました。

例えば、ルート上、 信号機の有無に拘わらず全ての交差点や分岐(道なり以外)にはガードマンを配置しました。

また、小回りの効くオフロードバイクで 救急セットとAEDを持ったベテラン看護師(スタッフ)が参加者の一団と一緒に移動したり、 最高尾に追上げスタッフ(自転車)を付けたり、各ステーションに有能なスタッフを 配置したりしました。

【予想外の雨】

いよいよ大会当日、気掛かりな天気予報は、大会当日も前後日も晴れマークになっていたので、雨の心配は全くしていませんでした。 それに晴れの特異日だし・・。

ところが運悪く、 大会日前夜から降り始めた雨が止まず、午前8時のスタート時もシトシト降り続けていました。 天気予報ではその日の未明には上がると云う予報だったのですが・・・、 皆ガッカリでした。人生とは侭ならぬものを痛感しました。

【いよいよスタート】

それでも多くの参加者が集まってくれました。自転車乗りは精神的もたくましいと改めて感じました。

そして、シトシト雨の中、午前8時に最初の サイクルステーションである山梨県小菅村「村の駅ほうれん坊」を目指してスタートして行きました。

この大会は5箇所のサイクルステーションを巡るスタンプラリー方式を採用しています。

計画当初は「成木の家」も加えて6箇所のサイクルステーションを 巡る予定だったのですが、距離が150kmくらいになってしまい陽の明るい内に回り切るのは難しいと判断して、今年は成木の家をパスしました。

【大切な地域との触れ合い】

そして、 当日朝の受付で配布された金券(千円分)を使って、何れかのステーションで昼食やオヤツを食べたり、 コーヒーを飲んだりすることができるようにしました。こうすることで、 各ステーションの施設を知ってもらい、普段から訪れて貰おうという主旨です。

10時前後に大部分の参加者が「ほうれん坊」に到着し、そのほとんど全ての人が味噌汁やおにぎりを金券で購入したそうです。そして、 11時前後に到着した第2番目のステーション都立山のふるさと村「レストランやませみ」では、約50%の人がカレーなどの昼食を食べたそうです。

そして、12時半頃に到着した第3番目のステーション檜原都民の森「とちの実売店」でも、多くの人が列をなして、団子やおでん、牛丼等々を食べたそうです。 この時点ですでに金券を使い果たし、現金で支払っている人も多くいたそうです。

因みに、これより先のステーション檜原村特産物直売所「やまぶき屋」はお焼きとアイスクリームくらい、 「檜原村地域交流センター」では食べるものはありません。

各ステーションで食事をしたり、スタンプを押してもらったりして、ちょっとした会話を交わすことで地域の人と 直に触れ合ってもらうのも本大会のテーマの一つです。

【将来への手応え】

イベント全般の進行に関しては、予想通りで午後1〜4時の間に全ての選手がゴールしました。

雨天にも拘らず、事故や怪我人もなく、運営もスムーズで、 成功裏に終えることができました。また、参加者を受け入れた各ステーションの関係者からも、活気あって楽しかったと連絡がありました。

天気が良ければ、雄大な自然が残る東京の秋を存分に満喫してもらえたのに、返す返すも午前中の雨が残念です。

国立公園という素晴らしい環境と 其々の地域の人たちの気持ちがあれば、近い将来、立派なイベント(観光資源)に育つと感じました。

【立正佼成会青梅練成道場に感謝】

最後に、大会会場を提供して頂いた「立正佼成会青梅練成道場」には大感謝です。

ここは広大な敷地と立派なスポーツ施設があり、 昔から地域のスポーツ振興に尽力され、青梅市の スポーツイベント全般に亘って施設を提供されています。

我々も、前日の準備段階から横断幕設置用の杭を芝生に打って頂いたり、広大な芝生広場を自由に使わせて頂いたり等々、非常に良くして頂きました。 お陰様で、スムーズな運営をすることができました。

【レポート・フォト】
【後援】

三多摩観光連盟、奥多摩町、檜原村、山梨県小菅村、青梅市

【Special Thanks】

都立山のふるさと村「レストランやませみ」、村の駅「ほうれん坊」、檜原都民の森「とちの実売店」、檜原村特産物直売所「やまぶき屋」、檜原村地域交流センター、 立正佼成会青梅練成道場、青梅警察署、五日市警察署、上野原警察署、wiggle

写真提供:小野口健太、舘岡正俊、池田将